赤面




『あなたって物怖じしない性格』といつもまわりから言われてきた。
確かに恐いものなんてない と思えることも多い。
なのに、性的に意識する人の前ではからきしダメな私。
昔からそうだ。どうしてだろう?


昨日まで普通に話せたのが、急にモジモジするのも変だし。
頭ではそうわかっているのに、いざ好きになった人の前に立つと
言いたいことの半分も言えない。
ここで何か言わなきゃ、言わなきゃと思っているのに言えない。
代わりに顔が徐々に赤くなっていくのが自分でもわかる。
動揺?してるのは相手にもわかるんだろうな。


何も考えずに目の前の人の腕の中に飛びこんでいけばいいと
頭ではそうわかっているのに。


ひとりで顔を赤くしている私に、彼は優しくこう言う。
『恥ずかしいの?』
うつむいて小さくうなずくのがやっと、「うん」の声も出ない。
やれやれ、いつもの私はどこへやら。
物怖じしない私しか知らない人は、きっとその変貌ぶり?に驚くだろう。
だけど、これもまた私。


彼はまだ私の顔を見つめてる。
手を伸ばせば、私に触れられるのに。
赤面したまま、時間だけが流れて行く。
でも幸せなんだな、これが。
なぜだか、なぜだか。


彼に恋しているから。
そして、彼が大好きだから。




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